Archive for June 6th, 2009

“飛行速度が遅すぎた”ってどういうこと?

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エアバス

エアバス

ブラジル沖フランス機墜落の続報だ。

まず、パイロットたちが乱気流下で飛行速度を遅くする理由は、その方が急激な気流の変化の際に機体に無理な力が加わらず、ひいては客室の揺れが少なくできるからである。

だが、あまりに速度を遅くしていた場合、例えば、向かい風だったのが、いきなり急激な追い風となった、という場合、一瞬で対気速度(揚力を司る、空気に対する速度)を失い、失速する可能性がある。

だから、パイロットたちは、航空機の失速速度と設計上の上限速度との幅が狭い高空において、乱気流が予想される場合、ちょうど失速速度と上限速度の真ん中の速度を選択して飛行する場合がある。これは、風の向きが予想できない場合の、対気速度の変動への対策としては、最も安全運航へのマージンが大きい飛行速度であると言える。

「速度が遅すぎた」というのは、乗客の快適性を気にするあまり、不用意に速度を落とし過ぎたまま乱気流域に突入し、急激な風向きの変化で不運にも失速、墜落に至ってしまった、ということを言いたいのだろう。

しかし、原因は本当に失速だけだろうか。失速して制御不能になったとはいえ、墜落前には電気系統の異常と減圧が起こっていたことを示す信号が、自動で発信されていた。失速とは直接結びつかないように思う。だから、失速だけが原因、だという主張は、にわかには受け入れがたいが、確かに乱気流の中で失速したら、回復操作は一層難しくなるだろう。

 

さらに、ちょっと気になったのは、エアバス機の「失速させることができない」という設計方針である。

実は、エアバス機は、パイロットがいくら失速を試みようとしてもコンピュータが自動的に速度を増して「失速させることができない」システムになっている。対するボーイング機は、最新機でもパイロットが意図的に失速させようとすれば(警告は発するが、そのまま操作を続行すれば)失速させることができる。

つまり、ボーイング機は、飛行試験の段階から、意図的な失速を想定して飛行テストを行っているのだ。

このあたり、エアバスが高空での失速を想定した設計・試験をちゃんとしていたのか、また、パイロットは予期せず失速した場合の訓練を、ボーイング機同様に行っていたのか、そういうところは「失速からの回復操作がどれほど容易ににできるか」という面で、影響を及ぼしてくるかもしれない。